本と雑誌 33冊 『レオナルド・ダ・ヴィンチ』 [本と雑誌]

隊長が読んだ「本と雑誌[本]」を紹介するシリーズの第33回は、『レオナルド・ダ・ヴィンチ』をお送りします。


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この本は、西村書店の「アート・ライブラリー」全44巻の一冊です。「アート・ライブラリー」は、中世から現代までの西洋美術家の中から、とりわけ日本でも人気の高い画家を中心に、その生涯や制作の時代背景なども併せて作品を紹介する画集シリーズです。



著者は、米ニューハンプシャー大学美術史学科教授の、Patricia Emison(パトリシア・エミソン)。専門は、イタリアのルネサンス美術およびバロック美術です。



訳者は、愛知県立芸術大学名誉教授の森田義之と、小林もり子。



内容は、「盛期ルネサンス」と呼ばれた驚くべき美術の全盛期を開きながらも、その芸術と人生は時代から逸脱していた、Leonardo da Vinci(レオナルド・ダ・ヴィンチ)。



彼の画業をカラー図版48点、挿図42点、年譜と、詳しい解説で、紹介しています。芸術家、科学者、そして発明家、多方面にその才能をいかんなく発揮した、レオナルド・ダ・ヴィンチ。



芸術においても数々の不朽の名作をこの世に送りだしました。本書では、その中からレオナルドの代表作《モナ・リザ》、《最後の晩餐》、《岩窟の聖母》、《受胎告知》など、日本でも有名な作品のほか、彼の手稿や素描も取り上げています。



ご存知の方も多いと思いますが、レオナルド・ダ・ヴィンチ、日本では、“ダ・ヴィンチ”と呼ばれていますが、イタリアで“da Vinci”と言っても、誰にもわかってもらえません。



“da Vinci”とは、“ヴィンチ村の”という意味です。本書の原題も、「LEONARD」となっています。



この本を読んだのは、イタリアに行き、作品を生で観て、もっと彼の事を知りたいと思ったからです。



フィレンツェの「ウフィッツィ美術館」⇒ http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/c22ab514939b286767d06ba5d01d80df で観た《東方三博士の礼拝》。


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この作品は、フィレンツェ郊外のサン・ドナート修道院が、附属聖堂の主祭壇のための板絵として頼みました。レオナルドが、ミラノに旅立つ前に書かれましたが、“未完成”でした。


まだ下書き状態だったこの板絵は、ベンチ家の館に保管されることになりました。修道院は、フィリッピーノ・リッピに新たに制作を依頼したとのこと。そのリッピの作品も、ウフィッツィ美術館に収蔵されています。



同じくウフィッツィ美術館で観た《キリストの洗礼》。レオナルドの師、アンドレア・ヴェロッキオとの共作といわれています 。


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両手を重ねあわせる天使を描いたのが、ヴェロッキオ。キリストの衣を持つ天使が、レオナルド。



ヴェロッキオは、自分の描いた天使との違いを目の当たりにして、絵筆を取ることを放棄し、彫刻に力を注ぐようになった、と本書に書かれています。



同館で本物に接して感動した《受胎告知》。この作品は、レオナルドが独立した画家となる前に、師ヴェロッキオの工房で制作されたと推測される、と著者は語っています。


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この絵は、その形状から、祭壇画として用いられた作品ではなかったことがわかります。この横長の画面の形状は、レオナルド自身によって選ばれたのだろうと書かれています。



ひざまずく天使と腰かけるマリアを、いくらかの距離をおいてあらわすのに、適当な形状だったからであると結論づけています。



ミラノの「サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会」の食堂で観た《最後の晩餐》⇒ http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/de059770abb68804e9784d159c91730a


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1494~98年にかけて、漆喰壁にテンペラと油彩で書かれたこの作品、下部に扉口があります。作品完成前からあった扉口だと思っていましたが、後世に開けられたそうです。



レオナルドの名声は、この作品の制作当初から高まり、それにも関わらず、1652年に扉口が開けられたことから、作品が現在考えれれているほど、当時は特別なものとしてみなされていなかったと、この本の著者は語っています。



レオナルドは、人体解剖にも多くの時間を費やし、その解剖研究に基づき《人体均衡図》などを描いています。



心理学者のジークムント・フロイトが、彼を心理学的パターンで分析しているとの記述も興味深かったです。



尚、『レオナルド・ダ・ヴィンチ』の体裁は、A4変型、126p。発行は西村書店。定価は、2,400円(+税)です。


 



===「本と雑誌」バックナンバー ===
http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/dc30502bb229b843454e38b8994f9be0


1~20冊  省略


21冊 2016/12/7 『テレサ・テンが見た夢』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/003c34225930ed81542e35caf5ec30fc


22冊 2016/12/22『カクテル・ハンドブック』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/a1f052d9bc97050f8418a8e12a5f4849


23冊 2017/1/12 『高倉健著「少年時代」』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/4243287003a72879856b54f7fd572ada


24冊 2017/2/9 『絵本「星の王子さま」』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/10551068b08e5edb57b0be02773b31a1


25冊 2017/3/9 『瞳みのる 老虎再来』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/4f839d9bbe229dc378239e5811877561


26冊 2017/3/19 『諺で考える日本人と中国人』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/1f1dad80dfd1065eb243e2a08f6f25fc


27冊 2017/3/28 『地球の歩き方 中国』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/bf64e21d7878240fce15b1470914ac6f


28冊 2017/4/17 『田原著「水の彼方~Double Mono~」』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/43b469cdfe84a213638a7a47d58fcb89


29冊 2017/4/30 『邱永漢著「たいわん物語」』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/448237a0279a9991426d7e2c89c14e8f


30冊 2017/5/27 『サン=テグジュペリ著「夜間飛行」』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/f71a38f366d7cb3d2f9210556865a792


31冊 2017/6/10 『るるぶ イタリア '17 ちいサイズ』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/8fd07900803a6cdfe70085b562a20298


32冊 2017/8/10 『八十日間世界一周』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/c75e0f2fd594adf77545d2a35f9501ff


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