学ぶ 33課『レポート「日本語教育の目的」』 [学ぶ]

隊長が行った展示会・講演・セミナー・発表会や考えた事、など「学ぶ」の第33回は、『レポート「日本語教育の目的」』をお送りします。


『外国人力士はなぜ日本語がうまいのか』⇒ http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/36dd3aaf4ea07815f7db88ae141ab7aa 著者の宮崎 里司(さとし)さんは、日本語教育の専門家です。


隊長は、大学時代に、ボランティア活動で日本在住の大使館員、商社員、留学生に日本語を教えていたことがあります。


また、中国上海に駐在している頃に、中国人にボランティアで日本語を教えていました⇒ http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/d/20121122


書棚を整理していたら、奥から大学時代に「日本語教授法」という講座を受けて提出した「日本語教育の目的」と題したレポートが出てきました。


改めて読み返して見ると、学生時代の生意気で断定的な言葉の使い方に赤面する思いです。


以下の文章がそのレポートです;

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私が日本語教育に関心を持ち、ボランティア団体「日本語教授の会」を設立し、日本語を教え始めて約2年が過ぎました。その経験から、現在の日本語教育には疑問を感ぜすにはいられません。


日本語は世界中で一番難しい言語だから、外国人に教えるのは無駄だと言う人もいますが、私はそうは思いません。しかし、全ての日本語教育機関が、果たして日本語を教える目的を本当に考えているのでしょうか。


最近、日本語教育講座新設の広告をあちらこちらで見かけます。○○カルチャーセンターのような大規模なものもありますが、多くは街の英会話スクールに併設されたものです。


それらは、商業的に採算が取れると見込んでの開設でしょうが、真の目的が別のところにあるのではと疑いたくなってしまいます。


また、□□新聞を始めてとして、「日本語教育」がマスコミに登場する機会も多く、一種のブームのように感じます。しかし、このブームも敗戦後の英語教育ブームの裏返し現象のような気がしてなりません。


日本は敗戦により、大国アメリカの模倣をすることが、米国に追いつく方法だと思い込みました。そして、経済の高度成長により、アメリカと肩を並べ、政治的・経済的にアジアの盟主になれたと思い込んでいます。


今度は、「発展途上国」が、日本の真似をする番だと。日本語ブームがこれらの国で巻き起こるので、日本語教師を養成し、彼らの需要に答えなければならないと。


けれど、海外での「日本語ブーム」は本物なのでしょうか。日本へ来た留学生などが逆に幻滅を感じ、日本が嫌いになることはないのでしょうか。


これは、日本語教育に携わる側の自己満足が原因の一つではないでしょうか。私自身、一生懸命日本語を教えた後の疲労感を、満足感として捉えてしまうことがあります。


けれども、ふと外国人の生徒は、本当に理解してくれたのかと不安になることもあります。それは、日本語教師の能力不足もあるでしょうが、むしろ教師・生徒とも「日本語」を教え・学ぶ目的への理解が足りないからではないでしょうか。


私が読んだ「日本語教育」に関する本の多くは、教育の目的よりいかに教えるかの技術論に終始していました。


さて、日本語教育の“勢力地図”を見てみましょう。第一のグループは、大学・国際交流基金等の公的教育機関。第二が、マスコミをバックにした○○カルチャーセンターなどの大企業。第三が、中小出版社や会話学校。そして、第四がボランティア団体。


私たち「日本語教授の会」は、第四のグループに属しています。我々は、教える速さ・量・技術などの能率主義ではなく、生徒一人一人の日本語を学ぶ「目的」と「欲求」に合わせた日本語を教えることにより、真の国際親善となるように努めています。

=== 「学ぶ」バックナンバー ===
http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/f5db9e9e6a9e758b72bc946d007772f7

1~20課  省略

21課 2014/9/11 『だまし絵II 進化するだまし絵』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/0ad4809b265374ab128671060e58020a

22課 2014/10/6 『中国高速列車の命名権販売を考える』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/b3e7fa9afa1426a5f29bb4976b726434

23課 2014/11/20『「冬のソナタ」から10年-いま「韓流」を考える-』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/0e2c87911a74a2203cde18b5a8ea9e5e

24課 2015/1/13 『ウィレム・デ・クーニング展』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/d9d52bf5d80239fc94dd637e9a935d0c

25課 2015/2/4  『カジノパーティー』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/0950d51ea500bb3dd4c8923297ef32f2

26課 2015/4/25 『講座 アジア「共同知」の探究』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/9f6fbabac6c774d498ab8f9c943e0c41

27課 2015/5/20 『大アマゾン展』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/8d5e201c5fd5ac505e184804103f654e

28課 2015/8/4  『講道館 柔道資料館』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/fea7c0dffd261ca322ec1d6527701a57

29課 2015/8/31 『東京都水道歴史館』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/4fe9bdb9e7df0641759c2479d3a4aced

30課 2015/10/31『河鍋暁斎とその弟子コンドル』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/38914b78753b42d2f63a18935f26bcd7

31課 2015/11/9 『佐藤優 哲学塾公開講座』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/959cf1917bae890de1150683b1b1bfb3

32課 2015/11/14『文京ふるさと歴史館』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/7e18dee817a63203b0691792ac401a1b


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